退職代行は違法?非弁行為になるケースとならないケース

退職代行を使うこと自体は違法ではありません。本人の「辞めます」という意思を会社に伝えるだけなら、手紙を届けるのと変わらないからです。違法の疑いが出てくるのは、弁護士でない業者が有給や退職日、未払い賃金について会社と「交渉」を始めたときに限られます。

利用者が罪に問われることは、基本的にありません。規制されているのは業者の側です。ただ、交渉できない業者を選んで手続きが途中で止まれば、その損をかぶるのは利用者です。

線を引いているのは弁護士法72条

弁護士法72条は、弁護士でない者が報酬を得る目的で、他人の法律事件について代理や交渉などを仕事として行うことを禁じています。この規制に触れる行為を「非弁行為」と呼びます。

退職に当てはめると、次のように分かれます。

業者がやること民間企業労働組合弁護士
「辞めます」という意思を伝えるできるできるできる
有給の消化や退職日を交渉するできないできるできる
未払い賃金を請求する・会社からの請求に反論するできない交渉はできるが、訴訟の代理はできないできる

民間企業の退職代行は、あくまで本人の言葉を届ける「使者」の立場にとどまります。会社が「有給は認めない」と返してきたとき、民間業者はそれ以上踏み込めません。踏み込めば非弁行為の疑いが生じます。

労働組合が交渉できるのは、団体交渉権があるから

労働組合には、憲法28条と労働組合法で団体交渉権が保障されています。労働組合が運営する退職代行は、利用者がその組合に加入し、組合として会社と交渉する仕組みです。

しかも会社の側は、正当な理由なく労働組合との団体交渉を断れません。断れば不当労働行為になります(労働組合法7条2号)。民間業者が相手なら「代行業者とは話さない」で終わる場面でも、労働組合が相手なら会社は交渉の席に着く必要があります。

ただし労働組合にも限界はあります。裁判になったときの代理人にはなれません。未払い賃金の額が大きく、訴訟まで見込むなら弁護士の領分です。

業者を見分けるときは、運営主体の名前を確かめる

サイトの見た目では、まず区別がつきません。見るべきは、運営者情報に書かれた名前です。株式会社や合同会社なら民間企業、「〇〇ユニオン」「〇〇労働組合」なら労働組合、「弁護士法人」や「法律事務所」なら弁護士です。

紛らわしいのは「弁護士監修」です。監修は、弁護士がサービスの説明文や仕組みを確認したという意味で、実際に会社と話すのが弁護士だとは限りません。会社と話すのは誰なのかを、申し込む前に問い合わせて確かめてください。

本ページは一般的な情報の整理であり、個別の事案に対する法的助言ではありません。 費用は一般的な価格帯の目安で、実際の金額は条件や事業者によって変わります。 誤りを見つけた場合はお問い合わせからお知らせください。